452066 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

Happy Valley Blog

Happy Valley Blog

読書2015.1~4

記者たちは海に向かった  津波と放射能と福島民友新聞 (ノンフィクション単行本)記者たちは海に向かった 津波と放射能と福島民友新聞 (ノンフィクション単行本)感想
故郷の過酷な惨状、自身と家族と同郷人の消えかかる命、たたみかける放射能汚染、これらの御しきれない状況の中で、報道人として郷土新聞として使命を果たそうとする人々の格闘の記録に悲しみがこみ上げます。「運命」としてなんとか前を向こうとする人、悩み続けて背負って生きる覚悟をする人、一生を捧げる決意をする人、その姿は尊く強く孤高に思います。悲劇と再生への誓いの記録です。
読了日:4月26日 著者:門田隆将
黒澤明が選んだ100本の映画 (文春新書)黒澤明が選んだ100本の映画 (文春新書)感想
30作くらい観た作品がありましたが、知らないものも多く、紹介されているものを観るのが楽しみです。黒澤監督は、野太い人間ドラマのイメージが強いのですが、紹介されている映画は様々な価値観のものがならんでいて、自身の作風とは違った様々なジャンルのものを好まれていたのに驚きました。アニメ、カーチェイスものまであるとは。創造の才には敷板など存在しないのですね。
読了日:4月26日 著者:黒澤和子
倒れゆく巨象――IBMはなぜ凋落したのか倒れゆく巨象――IBMはなぜ凋落したのか感想
モラールの高い従業員の先進的文化を有した最新技術に邁進する高品質企業と思ってましたが、実は、コスト削減での決算作り、大量解雇、非正規雇用、安い労務費を求めた国外移転、国内残業規制・過重勤務、収益優先、顧客軽視、品質軽視、SLA軽視、係争決着、株価重視、借金して自社株買い一株あたり利益捻出と、浮利を追う会社に変貌していたとは著者の指摘に驚ぎます。本当であるとするとまさにブラック企業です。品質問題でディズニー、ヒルトン、テキサス州など取引止めたらしいです。著者は破綻すると断言してますがどうなんでしょうか・・・
読了日:4月24日 著者:ロバート・クリンジリー
世界を操る支配者の正体世界を操る支配者の正体感想
長谷川慶太郎は競争力のないロシア製品を売る国としてウクライナをロシア依存にしておきたいからと。佐藤優と池上彰は、歴史的にクリミアはロシアが庇護し、フルシチョフはウクライナを思いクリミアを併合させたと、ウクライナとは田舎との意味。本書はEUもドイツもウクライナの取り込みには長年難色、米独のウクライナ援助も自国企業の債務保証で自国の為。真の人道支援は水道支援の日本のみ。紛争の真相はプーチンを煽り軍事行動させて抹殺しようとする米と国際金融勢力の陰謀と。ユダヤ勢力、グローバル化の真実と驚く内容。さてどうなのか・・
読了日:4月22日 著者:馬渕睦夫
もう一度 天気待ちもう一度 天気待ち感想
爽快で痛快で力が湧いてくるのが黒澤映画なのですが、この本の製作の裏話の数々もなんだか映画と同じように気持ちの良いものでした。苦労も喧嘩も前向きな必要なものに感じられ、反目も離反も次元が高くて理解しあい尊重しあう人間にとっては好ましい必然な事で、彼らにとっては存分に生きている幸せの証のように思えてきます。しばらくぶりにまた黒澤映画を観たくなりました。「あばよ」や「裏切り御免」との捨て台詞のシーンなのに、とても爽快な別れのシーンが忘れられません。すみずみまで躍動する迫力満点の白黒画面をまた観たくなりました。
読了日:4月20日 著者:野上照代
沈みゆく大国アメリカ (集英社新書)沈みゆく大国アメリカ (集英社新書)感想
チャールズ・ファーガソン強欲の帝国、ジョージ・パッカー綻びゆくアメリカのなぞりの印象。両書での「アメリカが林冠経済で出来レースの国で二大政党とは複占政治体制で金融と寡占企業と富裕層に魂を売り渡してる」「毎日低価格で過ごしてるが、不平等が広がり続けて抜け出せず、正義は金持ちの為でメディアも信頼できない」を再確認。オバマは貧困ビジネスモデルを医療保険制度改革に導入して寡占の医療保険会社、製薬会社、ウォール街につくすと。日本も狙われてると。週刊誌的で読み易い分、肝心の制度や財務がわからない本でした。煽り?
読了日:4月19日 著者:堤未果
明治維新と幕臣 - 「ノンキャリア」の底力 (中公新書)明治維新と幕臣 - 「ノンキャリア」の底力 (中公新書)感想
明治維新で全国統治の行政能力と行政官を持たぬ新政府が、幕府の行政組織と要員を継続登用してのりきったという主題でとてもおもしろかった。下級武士、外様の大名達の革命的歴史ドラマとして馴染んだ明治維新ですが、行政面で明治を支えたのが幕臣であったとは新鮮な視点でした。江戸の町奉行所も箱館奉行所も実務者たちがそのまま明治の初動を支えたとは。更に近代化が進み始めると彼らは去り、旧旗本の資産家階級出身者が優秀なキャリアとして復権したそうで、なんだか今でもあるような話の印象。福沢諭吉の痩せ我慢の説、よくわかりました。
読了日:4月17日 著者:門松秀樹
黒幕: 巨大企業とマスコミがすがった「裏社会の案内人」黒幕: 巨大企業とマスコミがすがった「裏社会の案内人」感想
バブルとその後に繰り広げられた政・官・財・暴の詐欺、横領、汚職、粉飾、破廉恥、破綻、逮捕、投獄の総ざらいで、欲望に狂奔していた世相を思い出してあの頃の日本社会への嫌な思いがよみがえってきました。本書の情報誌主宰者は、表と裏をつなぎ、先手の情報戦を指南して事を治めてきた人物のようで、窺い知れない複雑で繊細で肝の据わった生き様であったようですが、正義を笠に着るような右や左の権勢の嘘を見抜き、右でも左でも、商売でも公務でも、表でも裏でも、それぞれの分野でまっとうであることを求めていた人物であるような印象でした。
読了日:4月14日 著者:伊藤博敏
奇跡のリンゴ―「絶対不可能」を覆した農家・木村秋則の記録奇跡のリンゴ―「絶対不可能」を覆した農家・木村秋則の記録感想
大規模農業に邁進していた探求心の強い人が一冊の本との出会いで新しい農業の在り方に挑み、信念に全てを捧げ、家族もその信念を信じて支えるも、困窮、赤貧、孤立の末に、一人命を捨てに岩木山中に入り、自然の中で実をつける木を見て自然の土、生態系の力を悟り、更に探求を重ね、新しい農業を実現した一生。感動しました。貧困に負けぬ信念と取り囲む人々の自然な態度と到達した境地に心が震えます。賛同が広がる日本の農業に未来の期待が膨らみました。
読了日:4月10日 著者:石川拓治
日本の風俗嬢 (新潮新書 581)日本の風俗嬢 (新潮新書 581)感想
今村昌平監督の女衒や、山崎朋子のサンダカン八番娼館などで、戦前までの貧困から身をやつさざるをえなかった女性たちの痛々しくも逞しく耐え抜いた話にふれ、圧倒されて何も言えない思いをしたことがありましたが、一世紀をへだてた日本でも、貧困から足を踏み入れることになる人が多いとは驚くばかりです。一方、割り切り持てる力を使い高収入を得る職業人層もいて、二極化した格差社会の縮図がここにも拡がっているとは・・・存在する事実として社会からはじくのではなく、現実的支援や規制が必要との著者の主張に頷くばかりです。
読了日:4月9日 著者:中村淳彦
日本財政「最後の選択」日本財政「最後の選択」感想
アベノミクスが登場した財政の背景、経済対策の緊急度、消費税アップとその延期の意味に納得。借金漬けの中で、逃げられない人口動態の未来にどう政策対応するか、様々なシナリオの検証結果をみせられ背筋が寒くなります。消費税率を15%まで引き上げ、かつ成長率を引き上げないと2020年代には国債残高が国債購入に回る家計と企業の貯蓄を上回り債務危機に陥る可能性が高いと。政治に課せられた責任の重大さに果たして彼らでかじ取りしきれるのか不安倍増です。2015年から二年で何を実行するかが最後の選択とは・・・
読了日:4月7日 著者:伊藤隆敏
張り込み日記張り込み日記感想
黒澤明の映画を見ているような気がしました。構成乙一が頷けます。下町風景ですが、広々と小綺麗な印象を受けました。映画のような躍動が溢れる写真集でフランスで刊行されたのもうなずけます。刑事捜査を実写できた時代にもおどろきます。
読了日:4月5日 著者:渡部雄吉,構成と文乙一
日本‐喪失と再起の物語:黒船、敗戦、そして3・11 (下)日本‐喪失と再起の物語:黒船、敗戦、そして3・11 (下)感想
少子高齢化で縮退する経済、閉塞状態の若者と未来の活路を探す若者の併存、男性社会と女性差別と女性活用と晩婚化と女性保守化が混在した男女関係、左派講座派的に歴史批判、安倍一次総理と鳩山とも日本を普通の国にしようとして惨敗、日本の国民は平和憲法を支持、第二次大戦の資源確保の必要性についてはナチスの考え方に酷似、原発事故で官僚と政治家の無能を露呈、日本人は政官財すべてに不信感、日本は市民社会として発育不全・未熟、震災で改善兆し、震災復興に人々は懸命とのことでした。引用が多い手法で新聞記事からも多く注意しました。
読了日:4月5日 著者:デイヴィッドピリング
あんなに大きかったホッケがなぜこんなに小さくなったのか (単行本)あんなに大きかったホッケがなぜこんなに小さくなったのか (単行本)感想
大変いい本でした。魚好きはもはや心して考えなければならないのですね。ご都合主義の水産庁、取材せずお上の発表垂れ流しマスコミを鵜呑みにせず、自分で考えてくれとの著者のメッセージは悲痛です。魚の資源破壊は、行政、政治の失敗で、更に根底に「乱獲、乱売、乱食の負のスパイラル」があるのもよくわかりました。和食は遺産でなく遺物になってしまうのかと心配になりました。でも福島沖がこの三年で豊かな魚の海に戻ったとは驚きました。海と魚の回復力はすごいのですね。汚して根絶やしにしてしまうのは人間で浅ましいかぎりです。
読了日:3月31日 著者:生田與克
プリズム (幻冬舎文庫)プリズム (幻冬舎文庫)感想
作者の人間賛歌が好きですが、今回は主題を掴みきれませんでした。
読了日:3月29日 著者:百田尚樹
ドイツ大使も納得した、日本が世界で愛される理由ドイツ大使も納得した、日本が世界で愛される理由感想
今年、英国ウイリアム王子が郡山に一泊したのは要人初で、震災直後25か国の大使館が東京から避難した時、英仏伊は留まり、英国大使館は二日後には車を連ねて仙台入りし、3日間避難所を回り、支援物資配布と英国人安否確認をしたとの記事を読みました。ドイツは本国からの指示で3月18日大阪の総領事館に避難し、その時の大使が著者だそうで、それをドイツ人からも非難され、奥さんからは一番怒られたそうです。一か月後、東京に戻り、集会を開いて話し合い、政府の立場を説明し、被災地に何ができるか話し合い、支援がはじまったそうです。
読了日:3月29日 著者:フォルカー・シュタンツェル
イギリス、日本、フランス、アメリカ、全部住んでみた私の結論。日本が一番暮らしやすい国でした。 (リンダブックス)イギリス、日本、フランス、アメリカ、全部住んでみた私の結論。日本が一番暮らしやすい国でした。 (リンダブックス)感想
米英仏の典型的な働きぶり、生活ぶり、育児ぶりがよくわかり、楽しめました。仕事、教育、格差、差別など米英仏の体感実態が伝わってきて面白く読めました。さて、どこが一番幸せに感じている人が多いのか、何処もそれぞれに自国がと言う国民性ではないかという気がします。日本の自己満足刺激をネタにする番組が多いですが、そうではない米英仏日よく比較できていて納得感ありました。
読了日:3月28日 著者:オティエ由美子
餃子の王将社長射殺事件餃子の王将社長射殺事件感想
闇社会がつくづく恐くなりました。企業の脇固めの難しさ、トラブルへの安易な対応の怖さ、忍び寄る執念深い魔の手、痕跡を残さぬ狡猾な手口、弱みを持つことの危険さ、闇社会の海外進出、闇社会の国内流入、企業の成長につきまとう暗部などなど驚くばかりです。このような事が起きている日本でも安全との評価が得られるとなると、海外はよほど危険極まりないことになります。反社がすでにアジアに進出してて日本人や日系企業を狙っているとはおそろしい限りです。
読了日:3月22日 著者:一橋文哉
日本‐喪失と再起の物語:黒船、敗戦、そして3・11 (上)日本‐喪失と再起の物語:黒船、敗戦、そして3・11 (上)感想
日本の近現代史を各種書物、報道、口伝などをまとめたもので、週刊誌的で読み易く面白かったです。歴史を良く勉強されたようで様々な人の見解が引用されています。但し、引用された内容が異論と比較吟味できてるか、部分引用の切り出しが適切か注意が必要でした。本人への取材もありましたが、心象記述もあり、実証的歴史というより、随筆的印象でした。
読了日:3月21日 著者:デイヴィッドピリング
新・戦争論 僕らのインテリジェンスの磨き方 (文春新書)新・戦争論 僕らのインテリジェンスの磨き方 (文春新書)感想
世界の紛争の背景、論理、行末がわかりました。それにしても過去の帝国主義国、共産主義国の所業の悪辣さには、恐れ入ります。民族の領土覇権が入れ代わり立ち代わりの収奪の応酬を招き、人々を猜疑的に敵対的にしてゆく歴史が悲惨です。宗教と民族を抑圧でなく調和する文明がないものかと思います。豊かさを分かち合う文明はもうありえないのでしょうか。偽善的、潜脱的な拝金主義が著者の一人が言う「新帝国主義」の正体かと思います。米国でも差別にあえぐ若者が神の前に皆平等とするイスラムになびいてしまうことがあるとの指摘に怖くなります。
読了日:3月17日 著者:池上彰,佐藤優
絶対に行けない世界の非公開区域99 ガザの地下トンネルから女王の寝室まで絶対に行けない世界の非公開区域99 ガザの地下トンネルから女王の寝室まで感想
秘蔵写真を期待しましたが、各地でのいわくつきの場所についての読み物でした。知らない世界をのぞくような面白さはありましたが、米国本土の施設関係が3割を占め、他国でも米軍の関係する施設が紹介されてます。殺伐とした軍事・情報・金庫・刑務所などの各地の閉ざされた風景が多く、清々しく憩えたのは、伊勢神宮でした。
読了日:3月13日 著者:ダニエル・スミス
ドクター・ハック: 日本の運命を二度にぎった男ドクター・ハック: 日本の運命を二度にぎった男感想
とても面白い歴史です。ドイツ人武器商社員が、ヒトラー直属の諜報組織員で駐独日本陸軍の依頼で日独防共協定の日本での根回しをし、成果をあげたもののヒトラーの正体を見抜き反ナチに転じ逮捕されるも、駐独日本海軍武官が救いだし、スイスに亡命。開戦後は日本の武官に情報支援し、終戦に向けてOSSのダレス機関と日本の海軍武官達の終戦工作を斡旋。吉村昭の深海の使者での絶望的試練の先に、日本の破綻を救おうと信義にもとづくスパイ活動があったとは。軍国主義に虐げられる時代に親愛された日本人もいたことがわかります。
読了日:3月11日 著者:中田整一
日本の古代道路 道路は社会をどう変えたのか (角川選書)日本の古代道路 道路は社会をどう変えたのか (角川選書)感想
7世紀末から2百数十年間に亘る古代の国道のお話で、延6300km、直線、幅6~10m、16km間隔に駅、駅は宿泊可、規程数の馬と要員常備だったそうで、奈良、平安時代の律令国家の実力には驚きます。人、物、米、文明の流通・伝播・軍事効果は大きく、制度が廃れた後も道としての効能は計り知れないと。但し、制度維持した農民の苦しみは避けられず、政治的、経済的余波も大きかったそうです。佐藤健太郎氏の「ふしぎな国道」も面白かったですが、本書は国道の原型でした。古代人のダイナミックな活動実態がわかりとても面白かったです。
読了日:3月7日 著者:近江俊秀
ニッポンの裁判 (講談社現代新書)ニッポンの裁判 (講談社現代新書)感想
冤罪事件がなくならず、今でも起こされている。なぜなのかよくわかりました。まさか、最高裁判所や特捜検察が、「組織の維持と権益確保が自己目的化」した「腐敗した組織」とは・・・ その検察のリークを正義と報道する迎合メディアしかないとは・・・ 「日本の司法が中世並み」であるとは・・・ 裁判官が劣化し、訴訟当事者からの提出書面のコピペで判決を作成しているとは・・・ 権威主義、事大主義、大勢追随の裁判官ばかりとは・・・ 最高裁が憲法の番人ではなく、権力者の番人になり下がっていたとは・・・ やはりそうだったのか・・・
読了日:3月4日 著者:瀬木比呂志
日本人に生まれて、まあよかった (新潮新書)日本人に生まれて、まあよかった (新潮新書)感想
近現代史の正しい理解の仕方がよくわかりました。メディアに違和感を感じる事が多いですが、それは誤っておらず、むしろ、今も昔も日本のメディアが簡単に堕落したことをするのがよくわかりました。明治の修養・開明、大正・戦前の自己満足・懈怠、戦後の扇動・盲信がよくわかりました。リベラルとは何か合点できます。結果平等という偽善と、競争原理の排除が教育に弊害をきたし、日本は二流国家になるとの著者の危惧は迫真です。日本の左翼が日本にもたらし続けている被害にも呆れます。とりわけ朝日新聞の罪の深いこと、深いこと、救われません。
読了日:2月28日 著者:平川祐弘
インスタントラーメンが海を渡った日: 日韓・麺に賭けた男たちの挑戦インスタントラーメンが海を渡った日: 日韓・麺に賭けた男たちの挑戦感想
二国間でいい話のひとつでもないかと期待して読んでみましたが、如何せん、構成、文脈が未整理で正直読みづらい著作でした。明星食品の奥井清澄氏と三養食品の全仲潤氏について興味は湧きましたので最後まで読み通しましたが、途中、話が著者の随筆めいたり、小説めいたりします。登場人物の会話で表現してるのですが、主語、脈絡が曖昧で、果たして著者の取材によるものか、フィクションなのかと迷うことが間々ありました。韓国民は植民地支配を忘れず、許さず、謝罪を求めるとの主張も入ってます。題材はよさそうなのに残念な気がした著作でした。
読了日:2月23日 著者:村山俊夫
羆嵐 (新潮文庫)羆嵐 (新潮文庫)感想
マーチン・スコセッシは、今村昌平監督の古い映画を見つけると新作を見出したように嬉しいとの談話をテレビで見たことがありますが、吉村昭の作品にも調度そのような気持ちになります。未読の作品は楽しみで、かえって手に取るのをためらうことがあります。本作も今日読んでしまいました。張りつめた凍てつく世界に、開拓民の温もりが消えいるようで極限の営みにひとしおの寂寥感が漂う作品でした。日本人の自然環境との格闘には、獣との命のやりとりもあったことに驚きます。毎度のことですが、読後にはふうーと一息ついて心を落ち着かせます。
読了日:2月20日 著者:吉村昭
中国の大問題 (PHP新書)中国の大問題 (PHP新書)感想
14億人もの巨大な国のかじ取りのすさまじさがよくわかりました。内に抱える地方と都市の戸籍による大格差、都市への大流入と底辺生活、1億人以上に達する少数民族、日本と相似の成長軌跡、内需による発展段階突入、インフラ巨大投資の内需拡大継続、独仏韓新興国の果敢な進出、バブルはじけても巨大経済は崩壊なし、国営企業は非効率、人口は年6百万以上増加中、教育関係予算は国防予算の三倍、科学技術の研究者数は米より多い、留学は年20万人で帰国後優遇措置。次世代への布石着実。本書の主題は、日本は大問題、たちすくみ、能天気でした。
読了日:2月17日 著者:丹羽宇一郎
現代の正体 深夜の書斎から日本を思い世界に及ぶ現代の正体 深夜の書斎から日本を思い世界に及ぶ感想
著者の現代社会を知りたいとの読書を通じての思索の紹介でした。現代社会の正体が暴露されているものではなく、著者が現代社会の正体を知るために重ねた読書と触発された思考の紹介本でした。 日本は西洋的近代化に成功した最初の非白人国で西洋的近代に相当程度共感することができるが、西洋の植民地となり、勝手に国境線を引かれた人々は西洋的近代化に日本人のように権威を認めず、尊敬心を抱いていないだろうと。イスラム、ヒンズー、共産しかり、核心かと思います。日本は、いずれも解せる国と自覚して行動すればもっとよくなると思いました。
読了日:2月15日 著者:牛島信
天、共に在り天、共に在り感想
素晴らしい本でした。著者の自然で誠実で賢明で利他的な事績に圧倒されます。このような方がおられて、とても嬉しいです。戦争、貧困、平和、民族、生活、繁栄、文明、貢献といった事の本質が何なのか深く考えさせられます。大切にすべきものとは何なのか、考え抜き、やりおおせるとはどういうことなのか考えさせられます。したり顔の評論も愛国的な政治も真実面のマスコミも吹っ飛びます。日本の人々へと題された終章はこの上ない説諭でした。
読了日:2月12日 著者:中村哲
桜色の魂~チャスラフスカはなぜ日本人を50年も愛したのか桜色の魂~チャスラフスカはなぜ日本人を50年も愛したのか感想
波瀾万丈の人生に圧倒されました。最高水準の演技者同志の以心伝心の意気、スポーツと武士道の相似性、共産主義の人権抑圧とその全体主義的本質と残虐性、抵抗する人の矜持、日本体操陣の高貴で忍耐強く優しい人間性など、20世紀後半の歴史を象徴する実録ドラマでした。今、日本人としてどうなのか、考えさせられます。
読了日:2月9日 著者:長田渚左
狼の牙を折れ: 史上最大の爆破テロに挑んだ警視庁公安部狼の牙を折れ: 史上最大の爆破テロに挑んだ警視庁公安部感想
団塊の世代が青春時代に起こした暴挙と、それを糺した正義の実録でつくづく平和な今を有難く思います。共産主義、社会主義の熱に浮かれ身勝手にも無防備の人々の生命を奪った行為が横行した時代であったこと、卑怯な若者が爆弾テロを行っていたことを思い出して悲しくなりますが、同世代の恵まれない境遇の若者が彼らを許さず捕えたことも知り感動しました。本書の巻末の年表にある団塊世代が起こした陰惨な事件の数々は、拭いきれない戦後の汚点とつくづく思いました。
読了日:2月8日 著者:門田隆将
税金を払わない巨大企業 (文春新書)税金を払わない巨大企業 (文春新書)感想
注意して読む必要があった。持ち株会社制度批判であるとすると何が誤りなのかよくわからなかった。
読了日:2月5日 著者:富岡幸雄
綻(ほころ)びゆくアメリカ―歴史の転換点に生きる人々の物語綻(ほころ)びゆくアメリカ―歴史の転換点に生きる人々の物語感想
アメリカの様々な人々の今がよくわかりました。二大政党とも金融界に染まっていること、金への野心に知識人は邁進していること、尊敬され魅力ある英雄が初の黒人大統領にはならなかったこと、開発業者と銀行と行政とが主犯の住宅ローン詐欺がリーマンショックであること、正義を求めて闘い続ける人もいること、格差は食生活に及ぶこと(豊かな食文化を楽しむ富裕層とジャンクフードに追い込まれる人々)、財務長官歴任者でも人格は強欲であることなどなど。驚きました。科学者以外、各分野総ざらいされてます。
読了日:2月4日 著者:ジョージ・パッカー
化学で「透明人間」になれますか? 人類の夢をかなえる最新研究15 (光文社新書)化学で「透明人間」になれますか? 人類の夢をかなえる最新研究15 (光文社新書)感想
著者の「ふしぎな国道」は、軽妙でリズムのよい奇妙なネタで面白かったので、本書も読んでみました。化学の苦手が少し癒された気ができまして、化学の仕組み、その有用性と限界が面白いです。金、ダイヤモンド、カーボン、薬の数々から温暖化、エネルギーまで、取り組む人々が生き生き感じられました。楽しい読み物です。
読了日:1月29日 著者:佐藤健太郎
大格差:機械の知能は仕事と所得をどう変えるか大格差:機械の知能は仕事と所得をどう変えるか感想
原題は、Average is over。アメリカは、富豪が15%に増え、所得が頭打ちか減少するかする人が85%になると。機械の知能を使える真面目な労働者が求められ、そうでない人は技能の要らぬ低賃金労働しかなくなると。やる気があって勉強し続けて、賢い機械と協働できないと成功しないと。今のアメリカは雇いたくない人が多くて、教育長官曰く、17才から24才の人で4人に3人は軍入隊不適格者(麻薬、借金、肥満など)と。格差は拡大しても北米の世紀になると。低賃金労働力頼みの中国はそのままでは行き詰ると。日本はまだまし?
読了日:1月24日 著者:タイラー・コーエン
夕張再生市長 課題先進地で見た「人口減少ニッポン」を生き抜くヒント夕張再生市長 課題先進地で見た「人口減少ニッポン」を生き抜くヒント感想
マスコミで見聞きはしていましたが、事の本質が始めてよくわかりました。格闘し、勉強し、考え抜き、話し合った末に、立派な青年政治家になられたことがよくわかりました。民主主義の原点に忠実な心ふるえる政治活動に感動しました。打ちひしがれた夕張の人たちが立ち上がりはじめたことは貴いことです。成功を祈るばかりです。
読了日:1月20日 著者:鈴木直道
フォルトゥナの瞳フォルトゥナの瞳感想
フォルトゥナとは、作中の説明では、「ローマ神話に出てくる球に乗った運命の女神。人間の運命がみえる。」だそうです。面白い話でしたが、「類、種、個」の種の少ない話でした。 しかし、多崎つくるとは違う世界を見せてもらいました。ゼロや海賊とは異次元で"巡礼・・"に近いかもしれませんが、根底の人間大好きな気持ちが溢れてました。
読了日:1月19日 著者:百田尚樹
大局を読むための世界の近現代史 (SB新書)大局を読むための世界の近現代史 (SB新書)感想
著者の『大破局の「反日」アジア、大繁栄の「親日」アジア』も明快でしたが、本書もわかり易く納得させられました。30年前にソビエト軍の一線の兵士と武器の実態から国家としての危うさを予言した眼力は、もう80才をとうにすぎておられますが、いまだ衰えずと感心しました。人民解放軍、中国経済、中国共産党を正しく理解できた気がします。遅かれ早かれ北朝鮮が中国に見捨てられて崩壊し、その後2年で中国が崩壊するとの予言は、迫真です。そして、日本は、中韓に巻き込まれず静観せよ、連邦国家、民主国家になるまで待てとの警告も得心です。
読了日:1月18日 著者:長谷川慶太郎
しんがり 山一證券 最後の12人しんがり 山一證券 最後の12人感想
1997年11月に大蔵省から見限られ自主廃業となった山一証券の翌年4月に社内調査報告書を公表して不正を検証した事績が明かされる。マスコミは全く本質を掴んでおらず、会社を大切にした傍流の社員が真実を掴み、私利私欲の歴代社長とその取り巻きを弾劾したノンフィクション。強欲の行き着く果ての破綻話の後日談となるが、志ある正義にすくわれる爽やかな物語。アメリカの「強欲の帝国」や「綻び行くアメリカ」のような救いようのない閉塞話とは一味違う、強欲な金融悪に憤る人間賛歌でした。
読了日:1月15日 著者:清武英利
殺人犯はそこにいる: 隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件殺人犯はそこにいる: 隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件感想
以前、文芸春秋や報道番組で見聞きしていましたが、改めて全体を読み、警察、検察、裁判所、報道機関の深い闇に驚愕しました。痛々しい被害者の救済、犯人の検挙よりも、自己の組織を守ることを優先する権力構造に堕落の極みをみるようです。著者の職業倫理と正義感には感服します。ノンフィクションの真髄のような本でした。
読了日:1月11日 著者:清水潔
米軍と人民解放軍 米国防総省の対中戦略 (講談社現代新書)米軍と人民解放軍 米国防総省の対中戦略 (講談社現代新書)感想
否応なく突きつけられている軍事情勢がよく解りました。自国の利益を最終的には優先して自国の利益至上で邁進する同じような価値観のアメリカと中国。そして対峙しているアメリカ軍と中国軍。その攻撃的な武器の準備状況がよくわかりました。その膨大さは、恐ろしいものです。論理的で戦術的な分析・解説がなされるほど、目的と手段の逆転、自己陶酔型の試みを感じてしまいます。著者は、米軍関係者に開戦の分析はあるが、終戦の検討が欠けていると、中国軍の最高位の委員会では、文民は習近平ひとりで、他は皆、軍人と。暴発しないとよいですが。
読了日:1月10日 著者:布施哲
深海の使者 (文春文庫)深海の使者 (文春文庫)感想
 昭和17年から20年までに繰り広げられたドイツの最新兵器の技術情報入手ための潜水艦による輸送記録に圧倒されます。100メートルを超え、100人規模の乗員を要する伊号潜水艦、小ぶりながらすぐれた建造技術と最新レーダーを備えたUボート、果敢に実用化された長距離飛行機の活動記録と悲劇が丁寧に披露されます。  それらを駆使してシンガポールからヨーロッパまでの喜望峰を回る大航海の隠密行動に果敢に挑み、絶命していった優秀な技術者や軍人に悲しみがこみ上げます。
読了日:1月4日 著者:吉村昭

読書メーター


© Rakuten Group, Inc.